アジアの烙印
    一度アジアに駐在した者は、再びアジアにいく運命が待っています。

    それは知らぬうちに背中に目に見えない“アジアの烙印”が

    刻み込まれているからなのです・・・

    その痕は決して取ることは出来ず、深く体に染み込んでいくのです。

    いつしか忌み嫌っていた筈のアジア駐在への想いは複雑なものに変わり

    何かが自分の中で変わってゆくことに気付くのです。

    それは進化した自分なのか、それとも壊れていく過程なのか

    忘れていたはずのある日烙印は目を覚まし語り始めるのです。

    そして烙印が疼く時、その時・・・・・・

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    タイランド_初年度_プロジェクトT_その⑦_御神木の祟り~Ⅱ~
    2007年07月29日 (日) 22:18 | 編集
    M野課長は、両手に包帯を巻いて帰国してしまいました。

    「あれは、祟りだよzinちゃん。気をつけたほうがいいよ。
     普通じゃないよ! 絶対に。」

    ・・・・やなこと言うよな~この人。

    気を取り直して、それからは日々一人で工場に入ることになったのでした。

    工場の中は、暑く、薄暗く、ひと気が無く
    コンベアーが流れる音だけがガタゴトしています。
    重く、嫌な雰囲気が立ち込めていて
    何だか呪われいると言っても信じてしまいそうです。

    仕事の方はと言えば
    毎日毎日手を尽くしても、ちっとも良くならず
    ますますくっきりと模様が浮き上がってくるようでした。

    どんなに薬品を駆使して調整しても
    その模様は私を嘲笑するかのように不気味に
    顔をゆがめるばかりでした。

    タイ人の間では
    “あれは、工場建設中に死んだ人の霊だ”

    “いや、御神木の祟りだ!”

    と色々なうわさが飛び交い、お祓いをしなくては
    ということをマネジャークラスの人も真剣に考え始めたようです。

    ちっ、霊だとか祟りだとか言う前に
    良くなるように手を尽くせよ!エンジニアやろ?!

    ・・・・さらに二週間が過ぎました。

    もうダメだ・・・。いっぺんラインに拝んでみようかな・・・
    かしわ手を打って拝んでみました。

    「良くなりますように」

    その、2時間後上がってきた自動車には
    今まで見たことも無いようなくっきりとした模様が。
    にやりと笑っているように見えました。


    考えてみれば、理不尽な話です。
    なんで私がこんなにも苦しまなければならないのでしょう?
    逆に怒りがこみ上げてきます。
    毎日毎日、暑い中、朝早くから夜遅くまでただ働きをして
    野宿したり車に泊まったりしてるというのに
    祟りでこんなことが起こってるんだったら、逆にワシが
    呪い返したるッ!!文句あるなら霊でも悪魔でも
    出てこんかいッ!!
    誰もいない真っ暗な生産ラインの中で激昂した私は
    思わず叫んでいました。

    「ええかげんにせーよ!ボケ!!」

    と言うか言わないかの内に


    があああああああんっっっ!!

    衝撃と共に明かりが消え、ラインが止まってしまったのです。



    electricshutdown_AAT.jpg

    ↑クリックで拡大します。


    真っ暗闇の中でショックのために呆然として立ち尽くしていた
    私は、ものすごく巨大なパワーを感じました。

    うーん。こりゃあかん。絶対かなわん。
    生きて帰れるのか??

    ぶーんと音がして明かりが蘇りました。


    しかし、私はその場にずっと立ち尽くしていました・・・・。





    その後、えらーいお坊さんによって
    丁寧に祈祷が行われました。

    その、自動車に浮き上がってくる変な模様も
    すっかり無くなり、AA●の工場には平和が戻ってきたのでした。

    あれはなんだったのでしょう。
    偶然だったのでしょうか?

    でもあの時、私は確かに何かを感じました。


    その時にタイ人にもらったえらーいお坊さんのお守りを
    私は今でも持っているっちゅー話です。

    omamori.jpg

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    タイランド_初年度_プロジェクトT_その⑥_御神木 の祟り
    2007年07月21日 (土) 19:51 | 編集
    リン酸亜鉛化成工程を終えて鉄板の下地調整が出来てきた
    自動車のドアーにはボヤーッと何かが浮かび上がって見えます。
    良く見れば、それは人の顔のように見えなくも無い。
    その自動車に電着塗装という塗装をかけると
    ドアーの顔は消え、ボンネットに縞状のムラが・・・
    良く見れば、それは御神木の模様そっくりです。

    「・・・・・・・・・・・。」

    迷信,妄信を嫌うハマッ子のM野課長も
    それに気付いたのでしょうか、車を目の前にして
    何も言わずじーっと見つめています。


    -----------------------------------------------

    M野さんには薬品の仕込みが終わり
    製品の量産が始まる直前に日本から来てもらいました。
    野宿と安ホテルで疲れ果てていた私は
    M野さんの泊まったシラチャ・シティホテルの部屋の
    床に毎日泊めてもらったものです。
    ああ、エアコンって素晴らしい。
    夜中に水浴びをするために何度も起きなくていいから
    ぐっすり眠れます。しかも、蚊がいない!

    M野さんが初めてAA●に行った時、その道中
    車の中から見える御神木を見て
    「随分立派な木があるなー!タイにもあんな大きい木が
     あるんだねー!!バンコクでは全然大きい木を見なかったよ」
    と言っていたものですが、まもなくその木はバッサリ切られて
    しまったのでした。

    それ以来、工場の中ではさまざまな怪奇現象が起こり
    塗装工場でも変なムラが自動車に浮かんでくるようになったのでした。

    化学の力でそのムラの原因を解明・対策しなくてはならない
    我々は、来る日も来る日も生産ラインに入って
    色々と調査をしていたのでした。


    その日の朝
    鉄板からプレスで打ち出されて自動車の形に溶接されて
    でて来たばかりの自動車に7cm×15cmの大きさの鉄板を
    私は吊り掛けていました。
    切り立てホヤホヤの車体はどこもエッジが立っていて
    ナイフのように鋭くなっています。
    中腰でフロントフェンダーの下(前輪が付く所)辺りに
    針金をくくっている時に何か後ろに気配を感じて
    ふっと振り向くと、右手首がスッと冷たい感じになりました。
    再び振り返り自分の右手を見てみると自動車の鉄板が
    右手首の付け根に食い込んでいます。

    やばい・・・医務室までの最短コースは・・・
    もし、医務室に人がいなかったら焼くか?・・・
    医務室から食堂までは・・・

    「M野さーん」

    「ん・・・どうしたのzinちゃん?」

    「ちょっと危ないトコ切っちゃいましたんで医務室行ってきます。」

    そっと手首を鉄板から離すと、鋭い痛みが一瞬走り
    熱い痛みに変わったと思うと、どーっと血が出ました。
    ぴゅーぴゅー血が出なかったので動脈までは行ってなかったようです。
    ふーっ死ぬかと思った。
    しかし、手首から血がどんどん出ているのを見て
    M野さんは驚いたようで

    「うわっ、早く医者に行って来いよ!大丈夫か?」

    あたふたしてました。

    そのときの傷は今でも私の右手に残っています。




    あくる日の昼、
    ハンガーに吊り下がっている自動車の状態をチェックしようと
    M野さんは動いているラインの自動車によじ登って
    観察しようとしたときです。自動車の下に敷いてある台車に足を掛けて
    サイドウインドーの付くところになる所、ドアの上に手を掛けて
    ルーフの上をのぞこうとしたときです。

    ガコンッ!

    急に自動車が震えたようでした。
    ズルッと足を滑らせたM野課長は両手首を
    ドアーサッシュの所に激しく打ちすえたのです。

    「大丈夫ですかっ!?」

    「・・・・・。」

    相当痛そうですが大丈夫のようです。
    そして、M野さんも医務室へ。
    しかし、M野さんが前の工程でチェックしているとき
    落ちていたらギロチンのように手首がころんと
    落ちていたことでしょう。

    fig_AAT_accident.jpg





    その夜、日本食食堂でイカリングとニンニク焼きを
    クロスタービールで流し込みつつ私とM野さんは
    語り合っていました。

    「危なかったですねー。」

    「いや、昨日はzinちゃん、今日は俺だろ?
     絶対おかしいよ。35年でこんなこと一回もないもん。」

    そういや、二人とも手首に包帯巻いてます。
    無理心中しそこなったゲイのカップルに見えないこともないかも・・・
    慎重かつ大胆に仕事を進めるタイプはM野さんも私も同じ。
    過信するほうでもないので怪我することはほとんどありません。

    「おかしいですか?」

    ぐっと身を乗り出してきたM野さん。
    ジャンボ尾崎そっくりの顔でこういいました。

    「あれは、お化けだよ。間違いないよ!
     落ちる前、何かぞーっとしたんだよ。
     あの、御神木切っちゃったのの祟りじゃないかな?!」

    「この国来るとそういうこと言い出す人多いんですよ。
     この前出張に来た、Nさんもおねーチャンと一緒に
     エレベーターの中で見ちゃったみたいで、わざわざ
     おねーチャン連れて『デターっ』て言いに来ましたもん。」

    「あれは、お祓いかなんかしないと治らないよきっと。」


    あ、この人ケツ割りよった!(関西弁であきらめる,逃げるの意)


    この後、一人で祟りに立ち向かう羽目になるとは・・・



    つづく




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    情けは人のためならず 情けは人のためならず
    タイランド_初年度_プロジェクトT_その⑤_切り倒された御神木
    2007年07月15日 (日) 14:35 | 編集
    何もなかった赤土の土地に工場の建屋ができ始めました。
    まだ、中に照明も入っていないので昼間しか工事は進みません。

    100t~300tの薬品を入れるタンクが早くも
    運び込まれて、自動車塗装の下塗りラインになるぞという雰囲気が
    高まってきています。 急ピッチで工事を進めたために
    既に2~3人現場で死んだといううわさも聞こえてきます。

    私の職業は塗料の設計と技術サービスなのですが
    工場の設備がちゃんとしていないとどんなに塗料が良くても
    きちんと塗れないので、設備設計についても勉強して
    アドバイスしなくてはなりません。
    とゆーわけで、できかけの設備をチェックしに
    工場の中を回っていたのですが、
    まだ便所がなく、作業員があちこちでトイレをしてしまうため
    工場内は異臭が立ち込めていました。最悪やなこの工場。

    3ヶ月もすると工場もそれらしく出来上がってきました。

    その頃でした。アメリカからF●RDのスタッフが
    ぞろぞろやってき始めたのは。

    敷地の入り口にそびえ立つ4本の御神木。
    そのすぐ脇にAdmin(administrationの略 = 管理、管理経営、運営…試験出るよココ!)のオフィスを建てるっつーことで、その御神木を見た
    この米人達。こともあろうに

    「コレハ、ハリケーンガキタラアブナイデース。
     キッチャッテクダーサーイ!」

    とのたもうたのでありました。

    当然、地元の人々からすれば、ありがたーいこの御神木を切ろうなんて
    とんでもないことです。てなわけで、この御神木が切り倒されるまでには
    さらにこれから3ヶ月の月日を要したのでした。



    fig_tree.jpg

    ↑クリックで拡大します。
    (当時の写真が無いから絵で描いてます。はっきり言って面倒です)



    そのころには、すでに工場で車を作り始めており
    わりと順調に生産が立ち上がっていました。
    しかしある日、御神木が切り倒された時からのことでした。
    塗装した車のボディの上にもやもやっしたムラが
    浮かび上がるようになったのは。
    良く見るとそれは、人の顔のようにも見え

    「祟りや!御神木の祟りが起こったんやっっ!!」
    といううわさが聞かれるようになりました。

    しかし、科学的にそこにメスを入れるのが私の仕事
    何とかしなければ・・・
    この期間、金属表面処理のプロフェッショナル
    M野課長に日本から来てもらっていたので
    二人で調査をすることにしたのでした。

    この後、二人して世にも恐ろしい経験をすることになろうとは・・・
    M野課長は未だにあれは御神木の祟りだといっています。
    そんなこというタイプの人じゃなかったんですけどねー



    つづく




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    タイランド_初年度_プロジェクトT_その④_4本の御神木
    2007年07月07日 (土) 02:05 | 編集
    私 「えらくハエが多いですねー。ここは」

    I橋主任 「ここはね。周りがパイナップル畑なんですよzinさん。
     パイナップルにハエがわいてるんですよ。
     パイナップルしか食べてないからキレイみたいですよ!」

    私 (目の前のハエ捕り棒だまだもぞもぞしているハエをみながら)
    「そういや、このハエお腹が透き通っていてパイナップル色
     してますね!!」

    そう。ここはまだ開発前のイースタンシーボード工業団地。
    東洋のデトロイトも当時はパイナップル畑のど真ん中だったのです。
    山形の「牛肉ド真ん中弁当」とは全然違うのです。

    幹線道路から道なき道を乗り越えて、車をひた走らせると
    果てしなく広がるパイナップル畑と
    その奥に見えてくるAA●の建設予定地に
    4本の御神木がずーーーっと遠くからも見えたものでした。

    こーんな感じて御神木が見えるともうすぐだなーと
    思ったものでした。
    past_EasternSeaborad.jpg


    ↑クリックで拡大します。

    タイには元々あまり大きな木を見かけないのですが
    なぜか、ここにだけどどーんと4本だけ巨大な木が
    生えており良い目印となっていました。
    近くによって見ると、オレンジ色の坊さんの袈裟が何人分もつなぎ合わせたものを木の幹にぐるりと回し掛けており、献花と線香でいかにも
    “御神木”感を高めているのでした。
    ま、そうでなくても大人4人以上がてを繋いだくらいの太い木の幹と
    その高さに圧倒され、嫌が上でも神聖な雰囲気を感じずにはおれませんでした。


    しかし、このAA●という会社、F●RDが金銭面を完全に仕切っている会社で
    欧米人が敷地と建屋のレイアウトを考えているようで
    まさか、この御神木が切り倒されてしまうことになろうとは・・・
    そして、その祟りによってえらい目に。
    ・・・しかも、そのとばっちりを受ける羽目になろうとは
    夢にも思わぬ私なのでした。


    つづく





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